彫金『つける』後編

「(2)パーツを溶かし融合させる」について解説します。

花器やランプ、特に大型の作品では、「水が漏れない事」、「溶接棒でつける時以上の強度が必要」という条件を満たす必要があります。このような時は、パーツどうしを隙間なくつけた状態で、電気溶接機を(アルゴンアーク溶接??Tig溶接ともいいます)用いて両パーツを溶かしながらゆっくりと「つけて」いきます。溶接棒のように異なる材料を使わないので、銅のパーツなら、つけたものは全て銅として一体化されます。デザイン的にも溶けた感じが有機的で自然なフィーリングを醸し出します。この作業を「とも付け」と呼んでいます。

最後は「(3)リベットでつける」です。

(1)や(2)に適さないケースで、強度もそれ程必要でない時はリベットを使います。方法としては、ジーンズの後ろポケットに使われているものと同じです。当アトリエでは表札と表札ホルダーを固定する時によく使います。パーツ双方に穴を開け、頭のついたリベットピンを差し込み裏返して、とび出た部分をカナヅチで叩きつぶすことで固定します。表に出てしまう頭を見せたくない時は、リベットピンの代わりに銅線を使い、表側を叩いてつぶし平たくします。こうすると一見リベットなどどこに打っているのか分からない状態になります。

この様に「つける」という作業にも様々な方法があります。作品を創る時に、常にどの方法がデザイン的に適しているか、効率的か、強度は充分かを考えながら作業を行っているのです。

彫金『つける』後編