彫金『つける』前編

今回から2回に分けて、出来上がったパーツどうしをつけて組立てる作業の説明をし ます。パーツどうしをつける方法は3種類あります。

(1)溶接棒を使ってつける。

(2)パーツを溶かし融合させる。

(3)リベットでつける。

今回は(1)の溶接棒を使うケースの説明をします。まず、パーツを配置し動かないようにします。器具で固定する場合もありますが、通常は写真のように置くだけで事足ります。次にバーナーでパーツのつけたい部分を中心に熱します。すこし赤くなる程度まで熱したら、速やかに溶接棒(通称ロウと言います。銅用のものは銅ロウと呼んでいます。)をつけて溶かします。熱し方が適切だとロウが必要なだけ、きれいに流れます。パーツを熱しすぎると表面が溶けたりロウが広範囲に流れ汚くなってしまいます。熱し方が足りないと流れず後ではがれる原因となるため、バーナーで更に熱してロウを流します。バーナーの火の強さやパーツと火先との距離のとり方を、厚みや大きさの違うパーツに合わせて調節しなければいけません。経験豊富なベテランが行うと作業が速くてきれいなのですが、初心者が行うと時間がかかる上、失敗してはみでたロウを削ったりと余計な作業が増えてしまいます。銅をバーナーで熱すると広範囲に赤くなり、銅が柔らかくなってしまいます。(この状態を「なまる」と言います) nnこうなると変形しやすくなるので強度が必要な部分には適しません。このようなときは、電気溶接機で小さな範囲を強く熱してロウを流すようにすると、なまる範囲を最小限にとどめることが出来ます。又、バーナーですと酸化膜というすす状のものがこびりつきますので、これを避けたい時も、電気溶接機を使います。次回後編では(2)と(3)のケースについて解説します。

彫金『つける』前編